とうとう帰国かぁ・・・
8 月 17 日
朝からどんよりした天気。 そうか! あまりにもズーっと天気がよかったので、気にしていなかったが、もちろんロシアにも雨が降れば、 風の強い日もあるはずだ。 私たちは、実にラッキーだった。毎日晴天。 午後から夕方に掛けては、かなり暑かったが、それは贅沢だった事が、この最後の日に漸くわかった。
ホテルの近くの店に残りのルーブルを使う為に出掛ける。 ウラジオストックからの出国税は、とても安い。一人30ルーブル(150円) お土産のチョコレートを購入。 このチョコレートを買っていた時、思いがけなく日本語を話すロシア人と出会った。 「これ、チョコレート?」と、一人のロシア人に尋ねていた時、 「これは、中にいろいろ入っています。こちらが、チョコレートです」と、隣の女性が流暢な日本語で答えてくれた。
「これは、ウラジオストック製ですが、美味しいですよ」っと言う彼女のお勧め品を購入。 「日本語ガイドですか?」 「いいえ、日本領事館に勤めています」と。 きゃぁ〜、かっこいい!! これから出勤のようだった。
ホテルでの朝食。 期待してなかったのに、出るわ、出るわ、一杯。 目玉焼き2個。サラダ。甘いデニッシュパン。ロシアパン。コーヒー。 “ありゃ、おいしいパンあるやんか!”ってなほど。
「ミスター ミヤモト?」 「イエス」なんで、ミスターと聞かれながら、私が返事してるんだろうと思いつつ、「ドライバー?」「イエス」 ヤッター!!最後のロシア人は、英語の話せる綺麗な女性だ! 空港まで、高速を飛ばしても50分掛かる道中、いろいろ聞けるし、なんてったって、もし故障などトラブルがあっても、意思が通じる。 …心配しすぎ!
荷物を持って外に出る。 「え! 荷物これだけ?」 「はい」そう、行きと同じ、スポーツバッグ2人で1個。
運転中、話しかけても大丈夫なのか、聞いてみようと思っていたら… え!何故って? 私の場合、英語でいろいろ運転中に話しかけられたら、運転に集中出来ないので危ないから…あまり…。 つまり、英語がまだ自然ではないという事だ。
“あれ? 車に男性がもう乗っている!”という事は、この女性は一体何者? 「あなたは、ドライバーではないのですか?」 「はい、ここのホテルの支払の件で、トラブルがあったので、来ました」
なるほど…昨日の部屋の事か…。 「誰が、電話したのか結局わかりませんでした」と。 どうも、ロシア人が私たちの部屋をグレードアップするように連絡を入れたのはホテルによると間違いないそうなのだが… 「宮本って、よくある名前だから…宮本違いでは?」 「あのホテルに昨日、宮本はあなた方だけでした」「………………」 まぁ、私たちの責任ではない事だけは、彼女もわかっているので、その話題はそこまで。 約50分の空港への道中、彼女は、 「私は、今英語を勉強中なのであまりよく話せませんが…」と恐縮するので、 「トーンでもない! 充分ですよ!」と元気づけながら、質問漬けにする私たち。 あ!っという間だった。 そうかぁ、ロシアの都会では、一部のお金持ちを除いて殆どの人がアパート暮らしか…。 え!家賃って殆どタダ? 光熱費だけ? 初任給1、000ルーブル(5、000円)? そんなに少ないの? あと何を話したっけ…
あ!電車がタダなのを確認して、よく日本人が泊まる“ウラジオストックホテル”は朝と夜しかお湯が出ないけれど、 私たちの泊まった“ホテル プリモーリエ”は、自家ボイルシステムがあるので24時間中お湯が出るとか 、彼女は、D社のウラジオストックのスタッフで、すべてをマネージメントしているので、とても忙しいとか、 御主人がモスクワ出身なのでよくモスクワには行くとか…。
ウラジオストック空港には私たちが一番乗り。 出発の2時間前から出ないと、チェックインも出来ない。 彼女が帰ろうとしないので、 「私たちは、もう大丈夫ですから、戻って下さい。ドライバーさんも待っているし」と言って、別れた。 別れ際、お礼に50ルーブル渡そうとしたら、「ノー、ノー」と言う。 何と遠慮深いんでしょう! わざわざ空港まで来る必要もないのにわざわざ来てくれたのだから、 「ドライバーさんとコーヒーでも飲んで下さい」と言って、強引に渡した。
2人合わせて、残り92ルーブル。 小さい売店があったので、タバコ3箱購入。 残り2ルーブルのみ。 免税店で1カートン買えるほどの金額が残ってなかったのは幸いだった。 と言うのは、ウラジオストック空港には、免税店がなく、この売店で使わなかったら最後、もしルーブルを持っていたとしても、 使う事が出来ない。 商売けが無いとしか言えない。 普通、出国手続きが済んでから、時間潰しの合間に免税品店などで、日本人はわんさか、お金を落とすのに…。
2時間前になったので、チェックインしようと思って、カウンターに行くと、 “ここじゃない!”と言って荷物チェックと税関の方を指差す。 “えー! でも、まだ、搭乗券に代えてないのに…”と思いながら、X線検査を受けて、税関へ。
ロシアの税関は大変厳しい。 入国の時も手持ちのお金を正確に記入し、その金額よりももし出国の時の申告額が多かったら没収だ。 厳密に言えば、減るのが当たり前だが…。
“あー、よかった! 昨日ホテルで主人から50ドルもらっておいて” 意味わかります? つまり、入国した時、100ドルを両替したのは私。 その100ドルで、足りてしまった為、主人の所持金は減ってない。 でも、これではおかしい。いくら何でもお金を全く使わないはずがない。 そこで、一人50ドルづつ両替した事にしたという訳だ。
税関職員「50ドルだけ?」しっかり、金額チェックしている。 「イエス!」「麻薬類持っていない?」「もちろん!」、
まだ、手続きしているのは私たちだけ。 不思議な空港だ。 税関での手続きが終わってから、チェックイン。 ここで、すごく驚く事があった。 荷物をカウンターにのせた後、 「あなたも、ここに乗って!」
“またぁ、冗談好きな! いくら暇だからって、私の体重知ってどうするの!” と思いながら、チョットは冗談に付き合ってあげようと、カウンターに腰掛けると、 「ノーノー、立って!」 「え!! 本当に乗るの?ここに?」冗談じゃないみたいだ…。靴を脱ごうとすると… 「そのままでいい」だって! どうも、小さい飛行機なので総重量を計るらしい。
“そ、そんなぁー! こんなに太った?” “ち、違う。原因は、手荷物だ。” “ねぇ、わかってる?” 次は、主人。荷物込みで60kgの数字。 どうもみんな“軽いねぇー”、という感じで笑っている。 でしょ!! 私たち、省エネルギー夫婦なんだから。つまり、“少ししか食べないのに一杯動く” 「ねぇ、私たち2人の体重プラス荷物で百十数キロしかないのだから、航空運賃安くしてくれない?」って、冗談言ってみる。 が、うけてない…。 ならば、 「もし、太っている人が一杯チェックインして許容重量をオーバーしてしまったら、残りの人は、次の便?」 「イエス」 ヒェー!!次の便って、3日後だよ!!
待合室は、何もない。 売店もないし…。 ひまだ。
「カニ缶やキャビアの事聞かれた?」ふと、後ろにいたおじさんに聞かれた。 「いいえ?」 「カニ缶は一人2缶迄、キャビアも制限があるんだよ!」って。 「でも、どこにも入国の時書いてないですよねぇ」 「そりゃそうだよ! もし持っていたら取り上げて食べちゃえるんだから」ですって! カニ缶は、あまり見当たらなかったし、キャビアは要冷蔵だし…、という訳で全く買っていなかった。
“これだけ?” そうウラジオストックー富山便は、24人乗りの飛行機だった。 国際便とは思えない。 荷物も後ろに積んでいるだけ。スチュワーデスさんも一人。 ただ、狭いコックピットには大きなロシア人男性乗務員が3人。
2時間30分のフライト。 食事は、結構美味しい。スモークサーモンのサラダはグッド!
20数名の乗客は様々な旅をして来たようだ。
20代後半と思われる男性。 日本で知り合った、ロシア人女性とモスクワ方面へ旅行。14日間で、1、000ドルは使ったとの事。 すべて、彼の支払い。それが当たり前のようで、最後のウラジオストックで、 “もうお金が無い”とレストランで言ったら、急に怒りだして、気まずいまま空港で別れて来たとの事。 “いやぁ〜、もうロシア人女性はいいですわ”っと。
その彼、モスクワで警察官に 「パスポート?」と言われ、ちゃんと見せたのに、一人100ルーブル支払うように言われたので、抗議したら、 連行すると言われ、ロシア語を話せる彼女にまで、「これ以上ややこしい事になったら大変だから、早く払って」 と言われ、200ルーブル払わされたとの事。 不可解な都市だ。
60代の男性。 「親父の墓をずーっと探しているんです。最近極秘文書だったものが公開されたので、期待していたんですが…」と。 シベリアで抑留されたまま無くなった日本人の子供だ。この国を見つめる目は、私たち観光客とは全く違うのだろう。
30代の男性。 アゼルバイジャンや中央アジアを旅して来たらしい。 「やっと、日本だ」っと。 どのぐらい旅をしていたのだろうか? 安全と水はただと言われている“平和ボケ”している国に戻ってこられて心からホットしている様だった。
窓から、佐渡が見え、そのうち能登半島が見え始めると…。 「あー、あれは、軍艦島ですよ!」 「あれは、加賀温泉の辺りだ」 などと、みんなおおはしゃぎ! たった、20数名だけだからだろうか? なんかアットホームな雰囲気。
無事、富山空港に到着。 「うっそー!!」 と言うぐらい暑い!!
飛行機が予定通りに着いたおかげで、前もって買っておいたJR特急の指定席に全部座れた。 お盆の帰省で混んでいたのでとても助かった。
「楽しかったねぇー!!」 「うん!!」 かくして、極東ロシア5日間の旅は、無事終了!
今度旅行記を書きたくなる国はどこでしょうか? |