ロ シ ア の 子 供 た ち 

 

 

初日夜、9時すぎだというのに明るいせいか、レーニン広場には、かなりの子供たちが“何故、こんなオシャレをしているんだろう?”

と言うぐらいレースの付いたワンピースなどを着て遊んでいた。

ハバロフスクの子供たちは、本当に可愛い顔をしていた。

 

しかし、“あっ!ロシアにもいるんだ、ストリートチャイルドが…”

2日目の朝、市場にいく途中、お金をねだる数人の子供たち。

“ストリートチャイルド”と言う呼び方が、親が無く、路上で生活している子供たちの事を言うのだとしたらこの子たちは、違う様だ。

後でわかった事だが、この子たちの回りには、親と思われる大人が数人いたから…。

インド旅行中、現地ガイドが

「お金を与えないで下さい。一人にあげると大勢集まってきます。お金をもらえると働かないで、ずっと人からお金をもらうだけの

人間になってしまいますので」と言った。

 

なるほどと思った。

フィリピンではゴミの山から売れそうなものを拾ってお金を稼ぐ子供たち。

タイやインドネシアでは、赤ん坊を背負ってお土産物を売る子供たち。

みんな、小さい時から家族の為に働いているのだから、人にお金をねだるだけでは、何にもその子の人生にプラスとはならないだろう。

 

だから、ハバロフスクでお金をねだる子供たちも無視していた。

しかし、その私の考えが、ここハバロフスクでもよかったのか今でも少し考えさせられる事となった。

 

それは、2人組の日本人男性と、道端で情報交換をしている時だった。

その内の1人の男性が、

「またお前かよ! この子たち、こういうの飢えているんだよなぁー」と言いながら、近付いてきた一人の少女を抱き上げ、じゃれ合って

遊んであげるのだ。

“え!!なんで? その子の目的は、お金だよ、大丈夫?お財布すられない?”

って思っていると、私たちから少し離れた所でお金をあげたのだった。

この男性は、このような状態の子供たちをほおっておけないのだろう。

ボランティア精神豊富そうな雰囲気。

でもその時は、“ずーっと、無視してた私たちって冷酷?”ってチョット思ったぐらいだった。

 

しかし、この子たち、というかこの一団だけがいつも街をウロウロしている事がわかってきた。

つまり、同じメンバーに何回も遭遇していたわけだ。

路面電車に乗っている時だった。

この一団がドドーッと乗り込んできた。大人3人と子供3人。

大人はすべて女性。一人は赤ん坊を抱いて。もう一人は妊婦。

大人は靴を履いているが、子供は裸足。

料金を集めに来た女性と言い争っている。無賃乗車だ。

 

しかし、ここから驚く事には、座っていた初老の女性が、妊婦に席を譲ったのだ。ロシアはとても電車の中などで

老人に席を譲ったりする事は徹底している様だったが、相手は、無賃乗車、しかも譲った本人が譲ってもらってもよさそうな

年齢だったので意外だった。

その後、その婦人は、優しそうな顔で、そばに裸足で立っている子供にずーっと話をしていた。回りの数人もその話を聞いていた。

 

この一団は一体どういう状況でこの様な生活を強いられているのだろう。

明らかに、他のロシア人とは違う民族の顔。

ペルーのアンデス山脈に住む様な民族の雰囲気。

服装も明らかにまわりと違う。どこか、遠くから、何かから逃れて来たのだろうか?冬はマイナス30度にもなるこの地で、

どこに住んでいるのだろう?

妊婦や赤ん坊もいるのだから、男親たちは何しているんだろう?

 

汚れた服を着て、鋭い目つきをした少女。10歳ぐらいだろうか?

お金をねだりに来たこの少女が、いつもボロボロになったロシア語の紙切れを見せていた事を思い出した。

紙切れに何が書いてあったのか、とても知りたい。

この少女だけは、他の子とは洋服も全然違い、いつも一人少し離れていた。

“この子は、親がいない様だなぁ…”と思うと、何だか可愛そうになり、財布から小銭を取り出して

、“今度近寄って来たらあげよう”っと思った途端に、電車から降りていってしまった。

 

席を譲った優しそうな婦人にあの一団のわけを尋ねる事が出来たら…と思ったが、言葉の壁は大きかった。

 

こういう事を言うのだろうなぁ…

“その国の本当の素顔を知りたかったら、日本語ガイドからの情報では無く、現地の言葉で一般の人とたくさん話をしないとわからない”

って言う事。

 

 

8 月 15 日

 

今日は、ハバロフスクから夕方、ウラジオストックへの夜行列車に乗る。わぁぉ!D社の彼女の書いてくれた紙のお陰で、

無事荷物をホテルに預けたまま、また市内へ。

 

路面電車に乗って、終点まで行ってみる事にする。

もちろん、どこまで、どのぐらい距離が続いているかなんてわからない。

でも、たった2ルーブル(10円)だし、道路を走る路面電車なのだから10分も行けば終点になると思っていた。 

ところがである!

30分過ぎても、どんどん人が入れ替わるし、景色も住宅地だ。

乗って、5分としない内にお年寄りに席を譲ったので、立ったまま。 

“えー、一体どこまで続くんだろう? 帰りの電車はある様だけど…”

かなり不安になった頃、やっと終点に到着。 ホォー!

帰りも座れない私たち。

とうとう後ろのチョットした出っ張りの上に腰を下ろす。“変な外人だ!!”

往復、1時間半以上。冒険終了!

 

中央郵便局に行く。

目的は、切手。1ルーブルに切手、いろいろな種類を20枚以上購入。

シール代わりに使えるし、合計100円だ。

「あ!かわいいポストカード」

目敏い。ミッキーやドナルドなどのデズニーキャラクター。

日本で買えば1枚100円はする。 20枚ほど選ぶ。

ここでは…この価格にはさすがの私も目を疑った。

だいぶ、庶民の買うものは安いと言う事はわかっていたが、何と、

一枚0.8ルーブル(4円)!! “思わずい買い占めたい”と思ったほどだ。

 

日本への切手付き封筒は7ルーブル(35円)。一枚購入し、自宅宛に出す。

誰かに出してみようかとも思ったが、チャント届くかを確認するには自宅が一番だ。

中にはノートの切れ端に“家で無事この封筒を手にする事が出来ます様に”っと書いた。

これは、郵便事情の事では無く、“私たちが無事帰国出来ますよう”と言う意味である。

帰国後11日目にやっと、この封筒と対面出来た。“お帰り!” 

 

“あとどこに行こうかぁ〜”

 

美術館、博物館などに余り興味が無い私たち…。 

“年取ったら興味でるかしら…”“えっ!充分年取っているじゃないですって?”

戦車も展示している“赤軍博物館”へ。

なんか、すごい名前の博物館だなぁー。

入場料一人30ルーブル(150円)。入り口に8ルーブルという表示があるので、指差してみると…

“それは、ロシア人値段、外人は30だよ”らしき意味の事を、「xxxxxxxx30xxxx」と言っていた! はぁ〜。

 

ガイドブックに“旧満州を巡る日中ソ軍の戦いの資料などを展示している”って書いてあるから、

“ヨッシャ、苦手な歴史でも勉強するか!”っと意気込んで入ったら、説明すべてロシア語オンリー。

“外国人値段取っているんだから、せめて英語の解説ぐらい書いてよねぇ!”

 

博物館などの1階にある土産物屋だけが、“ロシア土産品”という看板を出してある。ハバロフスク中、日本語を見たのはここだけだ。

一応覗いてみる。

蒸し暑く、暗い部屋。余り品物が置いてない。

マトリーシカ人形(あの、どんどん小さな人形が中から続々出てくる人形)や、琥珀のネックレス、絵画などぐらい。

でもいた!日本人のおばさん。

「日本円でも大丈夫」の声。うっ!日本語を話せる店員さんまでいる。

早く出よう!!

ツアーだと、博物館見学した後、こういう店で、ながーい休憩時間を取らされそう!

でも、ここの店だけだった。

何だと思います?

“商品を自分の手に取ってみる事が自由に出来る店の事です!”

そう、あとは、文房具店から食料品店まで、どのような店も商品はすべて、ガラスケースの中。

つまり、店員さんにいちいち頼まなくてはいけない。

ロシア語が出来れば、

「その一番端の赤いのを1つ」なぁーんて簡単だろう。

しかし、混んでいる時に、まず私に注目を引かせ、指の動きだけでお目当てのものを訴え、取り出させるのは疲れる。

 

おまけに「One(ワン)」と言えば「アジーン?」「そうそう、アジーンよ!」もうおわかりですね! “アジーン”はロシア語の“1”です。

でも「One]と言えば、“わたしゃ犬でござる”ってな訳はないんだから…、

わからないかねぇー… 

 

私の大好きな、ラッピングペーパー類を見つけた時なんか、いちいち言ってられないから「そっち側に行かせて、自分で選ぶから」

ってジェスチャーで訴え、漸く許しをえて、10種類25枚も買っちゃった。1枚2.6ルーブル(13円!)。

 

ロシアは売り手市場なのだろうか?

かつてのような、品不足の影響か、どうも“売ってあげる”という感じだ。

だから、取られては大変とばかり、みんなガラスケースの中。

市場の食品にまで、ネットをかぶせてある。

 

いやぁー、実に面白い。“何がって?”

日本と違う所すべてがですよ。

これが、バーコードで読み取られて、「ありがとうございました」って、マニュアル通りに言われるだけの店だったら、つまんないよぉー!!

言葉が通じても、話す機会もないし。                   

 

 

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