シャンプー!!

 

 ホテルに石鹸、シャンプー類が無かったので、1回パックのシャンプーを2個購入。1個1ルーブル(5円)。

“ドライヤーが無いから、夜よりも朝シャンにしようかなぁー、自然に乾くし…”なんて考えている時だった。

 

ホテルの目と鼻の先のビルの1階にふと目を向けると…

紛れも無くそこは、美容院だった。

入り口に、8:20〜9:15と書いてある。

これを勝手に営業時間と判断。

物価の安い国だから、シャンプーしてもらうのも安いはずだ。

かって、姉がバンコクに住んでいた時、シャンプーの後、セットまでしてもらって、たったの300円だった。

当然のごとく、姉はバンコク滞在4年間一度も自分で頭を洗わなかったそうだ。

 

私も、海外旅行中に美容院に行く事は念願だった。

中国では、入って大丈夫そうなきれいな美容院が見当たらなかったし、ホテルの中の美容院は高そうなので行かなかった。

 

ここハバロフスクで見つけた美容院はきれいだった。

外から覗くと、誰も客はいない。まあ、もう9時前だからかも知れない。

でも一応足を踏み入れてみようと、ビルの中に入った途端、数人の人が出てきて、“もう、終わりよ”ってな事を言っている。

しょうがないから、外へ出て、ふと思った。

“明日の朝に来ようかなぁ…、シャンプー、ブローでいくらだろう?” 

 

信号待ちしていた美容院の人をつかまえて、

「ヴォーラス、シャンプーニ、スホーイ、スコーリカ スイート?」

つまり「髪、シャンプー、乾いた、いくら?」と聞いた。

“乾かす”は辞書に無く代わりに見つけた“乾いた”となった。

意味ぐらい通じてもいいだろう!って、念じてたら、「xxxxxx」って言ってる。

“今日じゃなくて、明日でいいから値段教えて!”といいたかったが、言える訳ない。

“ザーフトラ(明日)”が口から出てこないので、もう一度、

「ヴォーラス、シャンプーニ、スホーイ、スコーリカ スイート?」って、言ってみる。

“この外国人、頭かゆいんだ!”とわかってくれたんだか、

“この外国人、頭おかしいんじゃない!”と言い合っていたのかはわからないが…

“ついておいで!”というジェスチャー。

 

“えっ? 今日出でなくていいのよ…そんな、もうみんなで帰るところなのに…”

って思っても言えないから、付いていく。

どうもシャンプ−してくれるらしい。

一応「スコーリカ スイート?」ってもう一度聞いてみるが笑っているだけ…

まあ、シャンプー、ドライで、何千円も要求されるわきゃないだろう!!

と、まな板の上の鯉状態になって、いすに座ろうと思ったのだが…。

彼女は私を、まな板の上の鯉状態にはさせてくれなかった。

 

…と言うのは、髪の毛をシャンプーしてもらう時の体勢と言えば、いすに座ってふん反り返っているのが普通。

床屋だと前屈みらしいが…。

な…なんと、

客も立ったまま前屈みになって洗ってもらうのだ。

歩いてシャンプー台の前に行き、そのまま頭を突き出して…。

でも、何でもいい。シャンプーのいい匂いが漂ってきたし。

願わくはもっと力を入れてゴシゴシと洗ってほしかったが。

これがロシア流なのだろうか、それとも外国人なので力を入れないで、優しく洗っているのだろうか。

自分で、ゴシゴシしたかったが、もちろん失礼なので手は出さなかった。

ただ、洗い終わった後タオルを受け取った時に自分でゴシゴシふいた! ふぅ…!

その後は、日本の美容院と同じく座ってドライヤーで乾かしてくれた。

“あ〜、気持ちいい!サラサラ髪に戻ったぞ!”

「スコーリカ スイート?(いくら?)」

て、改めて聞くと…

“いい、いい”のジェスチャー。

そんな訳にはいかない。帰宅途中に呼び止めて、他の友達や一緒にいた子供たちまで待たせたのだから…。

 

ノートを差し出して「スコーリカ スイート?」ってまた聞くと、

ノートを受け取った彼女は、一瞬と惑っていたが、私のノートに書かれていたロシア語の文を指差して

、“これでいい”と言う。

その文とは、昼間アムール川の乗船代を聞いた時おばさんが書いてくれた

“一人10ルーブル”という一行だった。

10ルーブルでは悪いと思って、20ルーブル出したのだが、彼女は、10ルーブルしか断固として受け取らなかった。 

何ていい人なんだ…。

 

“う〜ん、ロシアの美容院には髪の毛をシャンプー、ブローするだけというメニューはないのだろうか?”

“何故、自分で洗わないんだろうねぇ?”“ホテルにシャワーが無いのよきっと!”と、噂されていたかも知れない。

 

こうして、ロシアでのシャンプー、ブロー体験はたったの10ルーブル(50円)で幕を閉じた。

 

今日の夕食は、セルフサービスの“レストラン カサム”で。

観光客もかなり来るのだろう。私たちの顔を見た途端レジのお姉さんは英語のメニューを渡してくれた。

ロシア風クレープ“ブリヌィー”とピザ、コーラ、ジュースで合計、50ルーブル(250円)。

このロシア風クレープ“ブリヌィー”がたいそう気に入ってしまった。

日本のクレープとパンケーキの中間の様なものだが、美味しい。

ロシア料理に付き物のあの、黒っぽくて、ずっしりと重くてすっぱいロシアの黒パンよりもずーっといい!

あのすっぱいパン、美味しいって思う日本人がいたらお目にかかりたいほど、口に合わない代物だ。あれは!     

 

 

 

 

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