絨毯ショップ

 

ここだけは、すべての日本人ツアー客が希望の有無に関わらず、訪れるのではないだろうか?

私たちも、一応見学する。

 

 

絨毯屋に関する一考察

 

一考察なんて言うと、かつて苦労して書いた、大学の卒論のようだが…。

ガイドブックを見ると、“絨毯屋でだまされた”“嫌な思いをしたと言う投稿文が目立つ。

この事は、日本語ガイドさんが一番残念に思っていることのようだ。

確かに、絨毯屋の勧誘は多いかもしれないし、金額に0を1個多く請求された人もいるのだろう。

ただ、全部が全部そういう店ばかりではもちろん無い。

観光地で知り合い、ガイドをしてもらった後、絨毯屋に連れていかれて、買ってしまったり、安いツアーで見学の途中にガイドが連れていく店は、コミッションが目的なのは、仕方がない。

 

この事は、トルコの絨毯屋に限ったことではない。どこの国でも、ツアー代が安い代りに御土産屋巡りを一杯させるというシステムはある。

香港など、市内観光付きのツアーの方が、全部フリー行動のツアーよりも安いのは、その市内観光の途中、旅行会社提携店で高い御土産を買ってもらってコミッションを貰う為だ。

 

でもトルコでは、国家資格を持った日本語ガイドが案内する店では、少なくとも、ガイドにはコミッションがないと言うファトゥマさんの言葉を信じてあげたい。

もちろん、旅行会社にはそれなりのバックがあるだろうが…。

彼女は、トルコの絨毯は、本当に良いもので、良い品を日本人に見てもらいたいから案内するのであって、別に買わなくても問題ないと力説した。

 

実際行った店は、とても立派で工場も兼ねている。

絹織物に関しては、“かいこ”の糸の紡ぎ方から見せてくれた。一応の絨毯製作過程の見学をした後、チャイのもてなしを受けながら、いよいよ “ シ ョ ー ”が始まった。

 

“ショー”と言う訳は、4〜5人の店員が私たち2人だけの為に次々と絨毯を広げる様子が、ショーのように鮮やかだったからだ。

日本語ペラペラの担当者が、金額、制作日数などを紹介しながら繰り広げられた。

“絨毯の支払いは、日本で品物を受け取ってからでいいこと”、選んだ品物が確実に届くように、“日本語で絨毯の裏にサインをすること”など、日本人の心配しそうな点をフォローする工夫がされていた。

 

こんなに絨毯を広げてしまって、片付けるのが大変だなぁーと申し訳なく思った。

この品物が、本当に日本で輸入して売られているものの1/3以下で、買えるのか、私には確かめようもないが、少なくとも自分で納得して、その現物が間違いなく届き、その後支払いをすればいいのだから、トルコに行ったら、是非絨毯を買いたいと思っている人には、安心して買える店だと思った。

 

手織り絨毯は、言わば芸術品なのだから、相場はあっても、厳密には価値を比較しようがないので、自分の目を信じて選んだあとは、後悔しないことが大切だと思う。

 

ただ…。“ショー”で見せていただいた絨毯は、安い玄関マットタイプで2〜3万円。6畳タイプでは、安いもので、10万円〜だったと思う。

絹織物に至っては、壁飾りにする小さいものでも、20万円ぐらいしていた。制作に要する時間から考えれば、そのぐらい当たり前かもしれないが、一般的日本人が考える絨毯に対する値段からは、だいぶ掛け離れていると思う。

 

高級な絨毯でも、湿度の高い日本の夏にダニでも発生したら一溜まりもない。

最近では、ダニやほこりを避けて、わざわざカーペット敷きの部屋をフローリングにリフォームするのがブームとなっているぐらいだ。

 

我が家のように、転勤毎に、古い絨毯を捨てて、新しく買い代える家庭も多いと思う。

それと、トルコ絨毯は、芸術的な絨毯模様と呼ばれるものがほとんどなのだが、狭い日本のリビングに敷くと、部屋がごちゃごちゃとして余計狭く感じると思う。

まして、壁飾りに、絨毯なんて、我が家を見回してもそんなゆとりのある壁は何処にもない。

 

 

 

ついでに    トルコ絨毯と日本の着物についての一考察

 

 

トルコでは、絨毯が有名と知ったのは、実はガイドBOOKを見てから。

絨毯といえば、“ペルシャ絨毯”や“中国の緞通”ぐらいしか知らなかった。

しかし、トルコに行ったことある人で、絨毯屋さんに会わなかったと言う人はいないだろうと思うぐらい、どこの地方でも絨毯屋がある。

 

昔このトルコの嫁入り絨毯のほうが、一枚上手のような気がした。からトルコ人は、結婚する時に男性は、生まれた時に家に植えたポプラの木を切って、家、家電製品、家具を用意し、女性は、絨毯を用意するそうだ。

 

絨毯は、自分で織る人もいるし、買う人もいる。現代では、変化しているかもしれないが、ガイドのファトゥマさんも、結婚した時に3枚の絨毯を買ったと言う。

もし、日本の女性がこの事を聞けば「えー、絨毯だけでいいの!ラッキー!!」となるかもしれない。

しかし、それは日本人が想像する、1枚2,3万円ぐらいのカーペットと呼ばれる絨毯を想像するからであり、トルコ人が言う絨毯とは、価値が違いすぎる。

トルコで言う嫁入り絨毯とは、本物の手織り絨毯で、1枚何十万円もするもののようだ。

 

日本人が今でこそ少なくなったかもしれないが、嫁入りする時に、高い着物を買って、箪笥を一杯にして、持って行ったようなものだ。

日本は殆ど親が用意すると言う所と毎日生活上使われている絨毯とは違い、着物が“箪笥の肥やし”と化している点は違うようだ。

絨毯は、家宝にもなるらしい。

 

確かに、何十年、何百年も経っている絨毯のほうが、価値が上がる場合がある。

それ程、意味を持った名産品だからこそ、観光客にも買って欲しいのだろう。

着物も家宝になるかもしれないが、もっと生活に密着している物を心をこめて購入する

 

 

 

 

 

この日は、この他に、きのこ岩の一杯ある “ ゼ ル ベ ェ ”やハチの巣のような穴のあいた岩山の回りに、マッチ箱のような家がびっしりと集まっている “オルタヒサール”などに行った。

この“オルタヒサール”は予定表には書いてなかったが、ガイドブックを読んで、主人がリクエストしたものだった。

 

予定表に忠実なファトゥマさんは、「予定表には書いてありませんが」と言っていたが、そもそも、日本の旅行会社の方で、カッパドキア1日観光の日の欄に、幾つかの地名が書き込まれていただけで、私たちがリクエストしたわけではないことを言うと、快く承知してくれた。

 

実際“オルタヒサール”に行ってみると、“ウチヒサール”の景色とは違い、山頂から、村の家々が見渡せなかなか良かった。

それと同時に何故、ツアーコースには入ってないかも分かった。 

バスなどを駐車するスペースが少ない上に、頂上まで登る道が、はしごなどもあり、かなり大変なのだ。

とても、50才以上の人は無理と思うほど。

私たちが行ったのも、夕日の綺麗な1日の最後だったので、“ふーふー”言いながらやっとの思いで登った。

 

カッパドキア地方は、見所が溢れていて、充実した一日を過ごせた。

しかし、もしこれが、夏だったら、“ウチヒサール”“オルタヒサール”など、とても暑さで疲れてしまって登れないと思った。気候の良い秋だったので、これだけ観光した後でも、まだどこかの村で、買い物でもしたいと思ったが、ガイドをするほうはもっと疲れているだろうし、翌日にも時間があるので、これ以上無理を言うのは止めた。

 

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