さて、この辺で
今回の旅行に至るまでを紹介してしまおう!
*日程と場所
主人の勤続15周年のリフレッシュ休暇(5年毎に取れる平日5日間の休み)
さぁて、どこへ行こうか?と考え出したのは5月半ば。前回の10周年は、中国だった。
その後は、ソウル・台湾・ベトナムに年末・お盆休みに行ったが、長い休暇は、めったに取れない。
(あ〜、土日を入れて9日間の休みを長い休暇と言わねばならぬ、日本人サラリーマン)
しかし、8月の声を聞いても、いつリフレッシユ休暇が取れるか分からない。
12月上旬なら取れそうと言われると、行ったことのない国で、5日間では行けそうにない地域をピックアップしたりした。12月ならカリブ海のキューバやドミニカ共和国などはどうかと、パンフレットを集めたり、ガイドブックを読んだりもした。が…。
頭の中に、構想が広がりつつある頃、12月説はなくなり、10月上旬に無理をして取ってしまう以外可能性がなくなってしまった。
10月のカリブ海は、ハリケーンシーズンなので諦め、エジプト・トルコ方面に決めた。
2ケ国、両方を見てみたいが、10月10日の休日のお陰で、10日間の休暇は取れるとはいえそれだと、カイロ・イスタンブールと言う大都市を見るだけで終わってしまう。
いろいろなパンフレットを見ているうちにトルコの2地方の景色から目が離せなくなってしまった。
それは、一面真っ白な段々畑のような“パムッカレ”と奇怪な岩々の“カッパドキア”だった。
−この時点で、エジプトはリタイア。
いろいろ調べていくうちに、この2大景勝地と、イスタンブール。
そのイスタンブールには、首都アンカラから夜行寝台列車アンカラエキスプレスで行きたくなってしまった。
調べ始めるまで、その国がどんな所か、場所すらはっきり分からないのに、一度調べ出すと、行ってみたいところがわんさか出てきて、いつも困る。
しかし、この2大景勝地“パムッカレ”と“カッパドキア”がくせものだった。
2ケ所の場所が離れているのに、車で移動するしかないのだ。
アンカラへ一度戻ったりすれば飛行機も使えるが、どうせなら、トルコ西部を一部分だけでも周遊して、景色の変化も楽しみたい。
10日間で、2大景勝地と遺跡、イスタンブールを組み合わせたツアーはいろいろ在るが、夜行寝台列車アンカラエキスプレスにも乗れて、2日間は、イスタンブールに滞在したい、催行人数2名以上のツアーとなるとなかなかない。
本当は、グループツアーは嫌なのだが、10日間で周遊するとなれば、時間的余裕がないので、まったくの個人旅行は難しい…。
それならば、2大景勝地の所だけ日本からツアーを申し込もうと思った。
*旅行会社探し
出発日は、10月5日(土)。
しかし、成田から直行でトルコに行けるトルコ航空は、火曜日と木曜日出発だけ。
関西空港発の土曜日便があるが、帰国日が合わない。
モスクワでトランジット1泊のアエロフロート航空便、アジア諸国経由のシンガポールやパキスタン航空の翌朝着便、ヨーロッパ経由のスイス、ベルギー、オランダ航空同日夜着便など、いろいろある。
フライト数の多さと、安さでは、アエロフロート航空が段突。飛行機の中で夜を明かして、朝イスタンブールに着くよりも、モスクワで1泊して、翌朝に着いたほうが体が楽そうなので、アエロフロート航空に決定!。
私の希望は、10月5日(土)出発〜10月14日(月)帰国で、アエロフロート航空利用。
イスタンブールからイズミールへは国内線利用。
“パムッカレ”と“カッパドキア”を見学して、アンカラから寝台車でイスタンブールへ行き2泊。
イズミールからアンカラまでのガイドとドライバーの手配と飛行機、汽車の切符、ホテルを手配してくれる旅行会社を探すこととなった。
旅行雑誌やガイドブックの広告を頼りに、片っ端から電話してみた。
やはり、ディスカウントチケットで有名なH社や、M社などは確かにエアー代(飛行機の代金)は安いのだが、その他の個人手配となると、色良くない返事。
“うちでは取り扱ってません。”“個人ツアーは高くなります”など。
“出来ますよ”という返事が貰えた4社には、FAXでこちらの希望事項を送ることにし、直ぐ電話の内容で見積りを出せますという1社にはその場でお願いした。
10名以上催行の同様日程のグループツアーが安い会社で1人15万円、高いところで30万円なので、20万円を一応の目安にした。
一番早かったのは、電話だけで直ぐ見積りを送ると言った、Y社で、その日のうちにワープロ打ちの日程表と見積金額がFAXで届いた。
希望は殆どかなえられているが、1人23万円。
それから、2,3日の内に2社から見積りが届いた。
その内の1社は、グループツアーでもアンカラエキスプレスを使っていたJ社。
何と、ワープロの予定表と伴に、申込書、申し込み金請求書まで同封してある。
Telも直ぐかかってきて、「アエロフロート便はすぐ仮予約した方がいい」と言う。
見積額は、20万6千円。丁
寧ではあるが、ちょっと積極的すぎ。「まだ検討中なので」と言っても、「仮予約は直ぐ取り消せますから」と。
負けた。
J社の見積もりに対して不満な点は、頼んでない所までガイドや食事が付き過ぎていることだ。
なるべくフリーな旅がしたい私たちにとっては、自分たちだけでは時間的に手配が無理な周遊地以外では、ガイドも要らないし、観光客用のレストランでの食事は出来るだけ避けたい。
J社で手配する現地旅行会社ではどうやら、スルーガイドがセットになっているようで、無理に省いても、2,000円しかディスカウントできないという。
安くならないのなら、送迎などわざわざ断るのももったいないし…。
その後にFAXで送られてきたのが、S社。見積もりなどは手書きだが、その分圧迫感もなく、イズミール、イスタンブールのホテルはリストの中から選んで下さいと料金の書かれたホテルリストも送られてきた。
ガイドと専用車もイズミールのホテルからアンカラまでの3泊4日間のみ。
他の旅行会社がすべて包括で見積りを出しているのに、このS社は、航空券、ホテル、3泊4日のツアー代が別々に書かれていた。
この点がとっても気にいった。
見積額も、イズミールとイスタンブールのホテルをスタンダードタイプにすれば20万円以内。
ただ、別々に金額が書かれていた為3泊4日の現地ツアー代が、とても高く感じられた。
1人¥72,000.−。北海道でも沖縄でもツアーなら、1人3万円台で旅行できるし、ソウル・香港は勿論のこと、6日間のハワイ旅行だって、行ける金額。
飛行機も利用しない車だけの移動なのに…とは思うが、日本語ガイドと専用ドライバーの人件費を考えたら、個人で頼むのが高いのはしかたがない。
殆どの周遊型トルコ旅行の催行人数が、6名もしくは、10名以上なのはその為だ。
エアー代だけを取れば、他に1万円以上安い会社もあったが、Telに出たS社のトルコ担当者Yさんがとてもトルコに詳しそうで、頼りになりそうなので、
今回の旅行は S 社 に 決 定 ! !
もちろん、直ぐJ社の仮予約は、丁寧におわびして取消してもらった。
その後も、このS社のYさんとは、何回かFAXやTELでやり取りをして詳細を決めた。
普通、出発2週間前ぐらいに、宅急便で、航空券などが送られてくるだけなのに、その都度TELがあり、
“何か質問有りませんか”と聞いてきたのには驚いた。
大手だとここまで手間暇かけることはしないと思う。
普通海外旅行というと、パンフレットなどから選ぶ、グループ旅行か、バックパッカーのような全くのフリー旅行のどちらかに極端に別れがちだが、これからは、リピート組も増えるのだから、客のニーズにより多く答えられる旅行会社が多くなってほしいと思う。
*「トルコは2回目ですか?」
「はじめてですよ」と私。
「そうですか? エフェスに行かないでパムッカレに直接行く予定になっているので、もう行ったことがあるのだと思いました」
どんなツアーにも必ず入っている世界最大級の都市遺跡“エフェス”が日程表に書かれていないのだから不思議はない。
私たちは、10日間の日程を決めるにあたって、重要視したのは、あまり欲張りすぎて、第一の目的地である“パムッカレ”と“カッパドキア”をゆっくり見る時間がなくなるようなことは避けたかったのだ。
だからS社にも、“パムッカレ”と“カッパドキア”でゆっくりしたいので、遠回りになる遺跡は省いてもいいと言ったのだ。
勿体ないことだが、仕方がない。
それに“パムッカレにも円形劇場跡などの遺跡があるのだし”と思った。
朝イズミールでエーゲ海を見ながら、コーヒーを飲んだこともあり、
「これからエフェスに入ると、1時間以上は掛かりますので、パムッカレの時間が少なくなりますが…」
とのファトゥマさんの言葉に「パムッカレ直接で構いません」と答えた。
途中の“アルテミス神殿跡”という所でちょっと休憩。
ガイドブックを見てみると、これはエフエスの遺跡のひとつで、ここから都市遺跡まではすぐの距離だった。
都市遺跡はパムッカレに行く途中にあるのではなく、かなり寄り道になってしまうと思っていたので“近いのなら説明無しで、急いで見ればそんなに時間がかからなかったかなぁ”とあとでちょっと後悔。
“説明無しでいい”なんてガイドさんが聞いたら、嘆きそうだが、“百聞は一見に如かず”主義で、世界を見て回っている私たちにとって、歴史の説明など、後でガイドブックを読めば分かる事は、そんなに重要視してない。
それに、歩き回って見学しているときなど、立ったまま説明を聞いても、疲れていて、余り頭に入って来ない。
それよりも、景色をじっくり見ておいて、後でホテルに戻ってからガイドブックをじっくり見たほうがよく分かるのだ。
ガイドブックに書かれていないエピソードなどはその場で聞いておきたいが。
私たちが現地ガイドに求めることは、一般人の生活、考え方など、生きた今のその国の情報だ。
その点、ファトウマさんはよく喋る人のようだし、物知りなようなので、これから楽しい旅になりそうな気がした。
彼女にしてみれば、ガイドしがいがない人達と思われたかもしれないが…。
*う〜ん、撮りたい
かなりのスピードで軽快に私たちを乗せたワゴン車は一路パムッカレに向けて、ドライブ。
途中、一面綿花畑。白いコットンフラワーを農民が摘んでいる。
その説明を聞いて、日本でそんな風景を見たことがない私達は、ちょっと車を止めてほしくなる。
特に、カメラを買ったばかりの主人は、トルコの農村地帯の人の写真を撮りたくてたまらない様子。
しかし、かなりの猛スピードだし、朝から“エーゲ海が見たい”などとお願いしていた私達にとって、初日から“うるさい客だ”と思われたくもなく、我慢してしまった。
個人ツアーなのだからいろいろお願いできるのだが、時々、日本人的遠慮が顔を覗かせる。
この後、コットンフラワーにはお目にかかれなかった。
*毛皮ショップ
次の休憩は、何と“毛皮ショップ”。“なぜ、トルコに来て毛皮なんだ〜”と思いつつ、
「トルコでは革製品が有名です。特にラム皮は柔らかく、とても良い製品が安いです。買わなくて構いませんので、トルコの良い製品を見て下さい」と。
ここまではよく聞く言葉。
しかし、「日本人は、ガイドがお店に連れていくと、売上金からコミッシヨンを受け取っていると思って、嫌がりますが、私が行くところは、決してその様なところではありません。品質はすべて、私も保証しますし、このような良い製品をお知らせする役目もガイドの仕事です。つまり、ガイドは観光省の役人のようなもので、お客さんにトルコの宣伝を日本でして貰えるような良いものを紹介する義務があります。」と続けた。
この説明には、とても力が入っていた。
多分今まで、いろいろな客からいろいろなことを言われてきたのだろう。
ドライバーさんの休憩時間も必要なので、特に、喜んでというわけではないが“毛皮ショップ”へ入る。
とっても綺麗なお店。
店員は2〜3人。
“待ってました“とばかり私達2人のための説明が始まった。
確かに、トルコ人はラム肉を良く食べるのだから、ラムの革製品が安く作れるのだろう。
本当に、今まで触ったどの革製品よりも柔らかく、そして、デザインも洗練されていて、思わず欲しくなってしまうコートもあった。
しかし、“10%値引します”と言われても、日本円で10万もするものをいきなり買えるはずがない。
去年、リサイクルショップで買った4千円の皮のジャケットで十分だ。
ただ、カナダで新婚旅行の思い出にと買った“シルバーフォックス”のあの動物愛護協会からクレームが来そうな2,3度しか着ていないコートを思い出し“交換してくれたらなぁ〜”と切実に思った。
*シシケバブの昼食
お昼無しにしてもらったツアー。
「何が食べたいですか?」と聞かれ「地元の人が食べるようなドネルケバブなど簡単なものでいいです」と。
昼食が付いてないツアーなんて経験した事がないのだろう。
ファトゥマさんと、フセインさんが何か喋った後、一軒の道端にあるロカンタに車を止めた。
テーブルと椅子が2つ外に置かれていて、シシケバブも外で焼いている小さな店だ。
前日のシシケバブがとても気にいっていた私たちは、また美味しく戴くこととなった。
勿論チャイも注文する。(チャイは道路反対側の店からの出前だった)
チップを入れて2人で55万TL(690円)。
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